部門別個別原価計算の手続き

部門別個別原価計算の手続き

次はどのような手続きで製造間接費が部門ごとに集計されて、各製品へ配賦されるのかについでです。個別原価計算を前提とした、製造間接費の部門別配賦を見てみます。

部門別個別原価計算の手続きは、3つのステップで行われます。

  • ①製造間接費を部門個別費と部門共通費に集計(第1次集計)
  • ②補助部門費を製造部門へ配賦(第2次集計)
  • ③製造部門へ集計された製造間接費の各製造指図書へ配賦

①製造間接費を部門個別費と部門共通費に集計(第1次集計)

部門別計算の第1段階は、製造間接費がどの部門で発生したかが明らかなものと、明らかではないものにわけます。明らかなものは部門個別費、明らかではないものは部門共通費になります。

部門個別費

部門個別費とは製造間接費が特定の部門で発生したかが分かるものをいい、部門個別費は該当部門へ賦課します。

部門共通費

部門共通費とは製造間接費が複数の部門で共通に発生したものをいい、部門共通費は適切な配賦基準で各部門へ配賦します。

部門共通費例
部門共通費配賦基準
建物減価償却各部門の占有面積
建物保険料各部門の占有面積
照明の電力料各部門のワット数または占有面積

例えば機械の減価償却費だとすると、その機械を使って作業している部門から発生したものというのは明らかなので、機械の減価償却費は部門個別費となります。また建物の減価償却費だったら、どの部門で発生したのかわかりませんから部門共通費という具合に、同じ減価償却費でも扱いが変わります。また部門共通費は、部門ごとの人数や面積など、一定の基準で割って配賦します。このようにして製造間接費を各部門に割り当てていきます。これが部門別計算の第1次集計になります。

簿記の試験だと部門共通費はどのような配賦基準を使うのかは、問題から推測して適切な基準を選択して解答します。

あと当たり前ですが、部門個別費と部門共通費の合計は、製造間接費全体の実際発生額と同じ金額になります。

そして、第1次集計の勘定記入は

  • (借方)
  • ×××
  • (貸方)
  • ×××
  • ×××
  • ×××
  • ×××

勘定名は一例です。部門名+「費」がそのまま勘定名になり、製造間接費の金額を各部門へ振り替える仕訳を行います。どのような勘定名になるのかは簿記試験問題文から推測して解答してください。

②補助部門費を製造部門へ配賦(第2次集計)

補助部門費は補助部門に集計された製造間接費のことをいいます。第2次集計は、第1次集計で計算された補助部門費を、製造部門へ一定の方法で配賦する手続きについてのお話です。

切削部門や組立部門などの製造部門は、製品の製造に携わっていましたが、補助部門は文字通り製造部門の製造作業を補助・サポートする部門で、直接製品を作っているわけではありません。このため第1次集計であつまった、補助部門にある部門個別費・部門共通費の補助部門費は、製造部門のように直接製造原価へ賦課するのではなく、製造部門へ補助部門が役務(サービス)を提供するときのように、補助した役務の提供の流れと同じ道筋に応じて、製造部門へ配賦していったほうが妥当です。補助部門費も最終的には製品に配賦されるべきですが、補助部門は製品に配賦しようにも製品に対して、合理的な基準がないので決め手に欠けます。そこで第2次集計では、補助部門費をサービスを提供した割合に応じて、配賦基準を作成し、製造部門へ負担させて配賦しようということになります。

補助部門費の配賦基準例
動力部門費動力消費量
修繕部門費修繕時間
事務部門費従業員数

配賦基準を見たところで、もう1つ問題があります。それは補助部門同士のサービスの授受をどう考えるかということです。どういうことかというと、この図を見てください。

補助部門が1つの場合の第2次集計

動力部門

切削部門

組立部門

これは補助部門が1つの場合の図で、切削部門と組立部門の製造部門が2つ、動力部門の補助部門が1つある工場と仮定します。

第2次集計は工場作業のサービスの流れと同じように集計するといういうことなので、補助部門費が製造部門の2つに配賦されています。また、サービスの流れですから製造部門から補助部門への逆はないんですね。

補助部門が2つ以上の場合の第2次集計

動力部門

切削部門

事務部門

組立部門

条件を変えます、今の図から事務部門費が加わり、補助部門が2つあると仮定します。動力部門は、切削部門、組立部門、事務部門へ動力をサポートし、事務部門は切削部門、組立部門、動力部門へ事務作業をサポートしています。

この状態で第2次集計を行うと、サービスの流れと同じように集計するので、流れに従うと、補助部門は製造部門へサービスを提供し、動力部門費と事務部門費が補助部門間同士で行き来することになります。それぞれの部門費は行き来して、特に補助部門費間は少しずつ配賦はされているので、何度も繰り返していれば最終的に0になるのですが、補助部門費が0になるまで計算するのは煩雑です。

この問題を回避するためにいくつかの計算方法があり、簿記2級では直接配賦法と相互配賦法を学習します。

計算方法はあとでお話しますが、他の計算方法を端的にいうと、

  • ・補助部門間の行き来を完全に無視する方法(直接配賦法)
  • ・最初は厳密に計算しておいて、ある回数でやめてしまう方法(簡便法としての相互配賦法)
  • ・補助部門費が0になるまで何十回でも計算する方法(純粋な相互配賦法-連続配賦法)
  • ・補助部門の配賦に順番をつけて計算する方法(階梯式配賦法)

という私のイメージですが、補助部門の配賦計算には何種類かの計算方法があります。