割引手形

まだまだいろいろな手形の話は続きます。つづいては割引手形です。

割引手形

得意先の支払いなど、何らかの形で所有している手形を、決済を待たずに金融機関に裏書譲渡することを「手形の割引」といいます。

手形の割引

通常、裏書手形は、商品の仕入の支払代金にあてるのが一般的ですが、手許の資金が不足しているときには、取引銀行などの金融機関に手形を持ち込んで、満期日前に買い取ってもらうことができます。

手形も小切手と同じで流通性がありますから、手形の支払期日をまたずに現金化してもらうことができるんです。

割引手形1

手形の支払期日前の銀行との、換金化の取引を「手形の割引」といいます。

また、銀行に手形を買い取ってもらう際に、一定の利息を取られます。この利息のことを、「割引料」といいます。

なぜ利息を取られるというと、銀行の立場になっていただければわかると思います。手形を受取っても今すぐ現金化できないので、銀行は、受け取った手形を担保に、企業にお金を貸していることと同じになるんです。資金の融資しているんですね。

お金を借りれば当然、利息がつきます。利息の計算期間は通常、借りてから返すまでの間ですね。ということで、割引料の金額計算は、手形を銀行に買い取ってもらってから、手形支払期日までが、計算をする期間となります。

割引手形2

利息の勘定はいうまでもなく費用です。

割引料の計算式

この割引料の金額計算も簿記の試験問題にでます。ですが、計算は簡単です。クレジットカードのキャッシングや、消費者金融から、お金を借りたことがある方はわかると思いますが、計算式はあれと同じです。

<割引料の計算式>

  • 割引料
  • 手形金額(裏書金額)
  • ×
  • 年利率
  • ×
  • 割引日数
    365日

一般的な利息の計算式です。知っている方は読み飛ばしてください。

割引料
利息になります。
手形金額(裏書金額)
手形の表に記入された、額面の金額になります。
年利率
一年間の元金に対する利子の割合のことです。手形金額(元金)とを、かけることによって、一年間の利息がはじき出されます。もちろん利率は、低ければひくいほど、支払う割引料は少なくなって得になります。実際の利率は、各金融機関ごとに異なるようです。
割引日数
手形の割引が行われた日から、手形の支払期日までの日数のことです。利息計算期間になります。一年間で計算された利息金額を、日数/365日でかけると、割引料がでることになります。試験問題では、20日とか、30日とか具体的な日数を指示されますが、いじわるな問題は、「7月の間」などと書かれたりします。何日なのか大丈夫ですね? 西向く侍で7月は31日です。

ちなみに、日数/365日というように、一日ごとに割引料を求めているので、日割り計算といいます。

また1/12というように、月ごとに割ることを、月割り計算といいます。

日割り計算というのは簿記用語ではないみたいです。金融用語でしょうか?いろんなところで、ちょくちょく出てきます。携帯電話や新聞購読の契約もだいたいどこも日割り計算ですよね。ネットのプロバイダとかもそうかな。

さておき、計算式が出てきましたが、いちいちこの公式を覚える必要はありません。理解すればなんてことはありませんから。

手形の割引

例題をといてみましょう。

  • 【例題】
  • 7月8日 得意先A商店から、売掛金の回収代金として受取った約束手形200,000円(支払期日11月30日)を、 取引銀行で割引き、割引料を差し引かれた残額を、当座預金とした。このときの仕訳をしなさい。 ただし、割引日数は(両端入れ)で、割引率は年4%であった。

約束手形を銀行へ持ち込み、割り引いています。
問題を解く前に、まずは手形の割引料の計算をします。

割引料の計算(年間トータルを求める)

割引料といっても要は利息ですから、一年間にどれだけの利息があったかを求めればいいわけです。簿記では「何々率の計算」といえば、だいたい一年間のあいだに、どれだけ何々がかかると、最初に計算で求めることが鉄則です。

これは企業の会計期間が一年単位の計算だから、ということが大きくかかわっているんですが、簿記の問題ではだいたい年何%で出題されるんです。月何%でとは、あまり問題で問わないんですね。

とにかく、先にまず一年間でのトータルの金額を求めます。

手形の額面金額は200,000円です。そして定石どおり、200,000円を一年間割り引いた時の割引料を、まず先に求めます。

実際の金額は、200,000×0.04=8,000で、この8,000円が、割引を一年のあいだにもししていたら、借り続けていたら8000円がかかりますよ、という金額になります。年間の金額をもとめるのがポイントです。

割引料の計算総計

割引料の計算(割引日数を求める)

次に、割り引かれた期間の計算をします。

一年間で、どれだけの日数、手形が割り引かれていたかが、わかればいいんですね。問題文より、7月8日から手形の満期日11月30日までの日数をかぞえます。

割引日数は、

    • 7月
    • 7月8日~7月31日
    • までの24日と、
    • 8月
    • 8月1日~8月31日
    • までの31日と、
    • 9月
    • 9月1日~9月30日
    • までの30日と、
    • 10月
    • 10月1日~10月31日
    • までの31日と、
    • 11月
    • 11月1日~11月30日
    • までの30日

の計146日になります。

割引日数146日を365日で割ると、146日/365日=0.4で、一年間のうちの、4割にあたる期間、手形を割り引いていたということになります。

一年間で8,000円でしたから、その4割、0.4年間で、8,000×0.4=3,200円となり、これが問題で求める割引料になります。

割引料の計算日割り

というようにこんな感じなのですがどうでしょうか?公式に当てはめれば

  • 3,200円
  • 200,000
  • ×
  • 4%
  • ×
  • 146日
    365日

と、すぐにでもでるんですが、この先、利率の問題で、いくらか応用がききますので、割引料の月割・日割計算の理屈をぜひ覚えておいてほしいです。

そして仕訳は利息分を手形売却損(または支払割引料)勘定科目(費用)として別勘定を用い、

  • (借方)
  • 196,800
  • (貸方)
  • 200,000
  • 3,200

と仕訳をします。結果、3,200円が費用として消え、実際に残った196,800円が、この会社で現金としてお金が残ったということになります。