有価証券

株の詳しい話もしたいのですが、ここはぐっとこらえて簿記の話です。

有価証券それぞれの簿記処理

有価証券の簿記処理をする、財産が動くタイミングは、有価証券を購入した時、有価証券を売却した時、利子・配当を受けた時、有価証券を売らずに決算を迎えた時、の4つの場面に分けることができます。

  • 購入した時
    • 売却した時
    • 決算を迎えた時
    • 利子・配当を受けた時

この中で、決算を迎えた時の評価替えの仕訳は平成28年度の試験範囲改訂から削除されたので割愛します。

株式購入時

  • 【例題】
  • 本日、神奈川商店はA株式会社の株式を1株あたり500円で1,000株購入し、代金は手数料1,500円とともに、小切手を振出して支払った。

基本的に株を購入しようと思ったら、証券会社を通じて、株券を購入することになります。
購入金額は株券そのもの時価と、証券会社に支払う若干の手数料などの費用もろもろを支払うことによって株などの有価証券を購入することができます。

<有価証券の取得原価>

  • 取得原価
  • 取引所に
    おける価格
  • ×
  • 購入株数
  • 証券会社の
    買入手数料
  • 有価証券
    取引税など

問題文の1,000株というのは株券を購入する時の単位のことです。

お肉を買う時、「何グラムください」というグラム単位で注文しますよね。株を買う時の単位は、「株」という単位で購入します。株をグラムで頼んだらだめなんです。

この例題の場合、1株あたり500円の株を1,000株購入したので、株券そのものの購入額は500×1,000で500,000円になります。

そして証券会社に手数料などのその他の費用を支払うことになりまずが、この手数料などの費用を「付随費用」(ふずいひよう)といいます。付随費用は、その手数料がなかったら株券を手にすることができなかったと考えられるので、付随費用も株券の購入費用に含めます。仕入諸掛のところと考えかたはおなじです。支払手数料勘定科目で処理はしませんから気をつけてください。

ということで、株式の取得原価は、500×1,000+1,500円で、501,500円が株券の取得原価となります。購入代価+付随費用が重要です。

  • (借方)
  • 501,500
  • (貸方)
  • 501,500

株券や公社債券を購入したら、有価証券(または売買目的有価証券)勘定科目(資産)で処理をします。仕訳の要素は資産の増加と資産の減少になります。

簿記の参考書によっては、売買目的有価証券勘定科目としているところもあります。

有価証券を購入した場合では通常、その保有目的等により投資有価証券などの勘定科目を用いて使い分けをしますが、簿記3級の試験では有価証券勘定科目しか使用しないようです。試験では回答欄をみながら適宜使い分けてください。

また有価証券は買ったときの金額が大事です。というのは有価証券を売却などで処分をしたとき、購入価額がわからないと、儲かったのかどうかがわからないからなんですね。

この帳簿上の有価証券勘定科目の価額を帳簿価額(ちょうぼかがく)、または簿価(ぼか)といい、有価証券取得原価とおなじ金額になります。

公社債購入時

公社債の計算も株式の購入の時と基本的に同じで、購入代価+手数料で求めます。公社債の単位は1口(くち)いくらと数え、公社債は1口あたりの購入単価に公社債の購入口数をかけて購入代価を求めます。

<公社債の取得原価>

  • 取得原価
  • 1口あたりの価格
  • ×
  • 口数
  • 手数料など

式は覚えなくてもいいですよ、額面で割って口数を出して単価をかけるだけです。

  • 【例題】
  • 埼玉商店発行の額面20,000円の社債を、額面100円につき96円で購入し、代金は売買手数料30円とともに現金で支払った。

まず額面当たりの口数を求めます。

20,000 ÷ 100 = 200口

次に1口あたりの価格をかけます。200 × 96 = 19,200

これに付随費用を加えれば有価証券の取得原価が求まります。

  • (借方)
  • 19,230
  • (貸方)
  • 19,230

公社債も株式と同じように有価証券勘定科目で処理をします。