仮払金・仮受金

話はガラッとかわります。次は仮払金・仮受金についてです。

仮払金・仮受金は、お金の出入りがあったけれど、それを処理する適当な勘定科目が決められなかったり、また、勘定科目が決まっていても金額が確定していない時や、内容不明の振込みがあって科目や金額がわからないときなど、不明確な収支がある間、一時的に処理をしておくのが仮払金(資産)・仮受金(負債)になります。

不明確な収支があるというのはどういうときかというと、簿記の参考書の中でよく例えとして出されるのが出張です。

従業員が出張にいく際、従業員へ旅費などの出張費を渡します。この旅費は交通費勘定科目で処理をするということはわかりますが、実際の金額はがいったいいくらなのかは従業員が帰ってくるまで正確にはわかりませんね。

ですが簿記上の取引であったように、従業員にたいして出張費のという名でお金の移動があったという事ですから、その事実がある限り、簿記では記録をしなければならないので、無視するわけにもいきません。

こういった使用する「勘定科目」がわからなかったり、また「金額」が未確定のときにどう仕訳をすればいいかというのがこのページのテーマです。

仮払金仮受金

債権・債務の関係をムリヤリ図にしてみました。あまりきれいではないですねぇ。(汗)

企業は従業員に出張を指示して、旅費を渡します。そして、従業員は労働というかたちで債務を完了させることになるわけですが、この出張したときの正確な金額がわからないという状態です。

また、この図の状態をもうすこし言い方を変えると、仕訳をするときの「原因、結果」の要素、または「金額」がわからなくて、仕訳をすることができないという状態とおなじでもあるんですね。

こういう、「取引はあったが原因、結果、金額がわからなくて仕訳ができない」というときに仮払金・仮受金勘定科目で一時的に処理をすることになります。

また、この仮払金・仮受金勘定科目は、現金過不足のときと性質が同じ仮勘定で、一時的に処理をしているだけなので、決算日までにはなるべく原因、金額をつきとめて、該当する正しい科目に仕訳をしなおすべきだということになります。

例によって記帳するタイミングは、勘定科目または金額がわからないことが判明したとき、そして勘定科目または金額が確定したときです。

例題です。

  • 【例題】
  • それぞれの仕訳をしなさい。
    1.従業員の出張に際し、旅費概算額 80,000円を現金で渡した。


    2-1.従業員が出張から戻り、上記旅費の金額が50,000円であることの報告をうけ、残金の返金を受け取った。


    2-2.従業員が出張から戻り、上記旅費の金額が100,000円であることの報告をうけた。不足額は従業員へ現金で支払った。

勘定科目または金額がわからないことが判明したとき

従業員が出張して、出張する際の費用を手渡したのですが、具体的な金額がわからないという状態です。

このとき、仮払金(資産)として一時的に処理をすることになります。

  • (借方)
  • 80,000
  • (貸方)
  • 80,000

勘定科目または金額が確定したとき

今度は従業員が出張からもどり、費用の具体的な金額がわかったときの記帳方法です。

確定したときのパターンとしては、費用を渡しすぎたときと、足りなかったときとの2パターンがあります。といっても考えは同じなので、さらっと見てみましょう。

<旅費が仮払金を超えた場合>

従業員が出張から帰ってきて、旅費が余ったということですね。この場合は、従業員からお金を返してもらいます。

2-1

  • (借方)
  • 50,000
  • (貸方)
  • 80,000
  • 30,000

この仮払金を消す仕訳と同時に、現金も戻るという仕訳をすることによって、勘定口座上は現金が貸方に、旅費交通費が借方に費用として残ることになります。

<仮払金が旅費を超えた場合>

とくに問題ないと思います。今度は従業員が旅費を余分に支払っていたので、

2-2

  • (借方)
  • 100,000
  • (貸方)
  • 80,000
  • 20,000

従業員に不足分を渡すということになります。自腹をきらせたらいけません。(笑)

仮払金勘定科目はどちらの場合も消えることになります。典型的な仕訳ですね。